Apple Watch Series 10の全特徴|SEとの違いを徹底比較

以前『Apple Watch SE』について紹介させていただきましたが、今回はスタンダードモデルのApple Watch Series 10について説明させていただきます。Apple Watch SEの上位モデルですので値段は高くなりますが、どのような部分にメリットがあるのか説明しておりますので買う価値があるのかご判断ください。
Apple Watch Series 10の進化の歴史
Apple Watchは2015年4月に初代モデルが発売されて以来、スマートウォッチ市場をリードし続けています。初代からSeries 9まで、Appleは毎年製品を進化させ、健康機能の拡充、バッテリー寿命の改善、処理能力の向上などを実現してきました。
Apple Watchシリーズの沿革
Apple Watchの歴史は、技術革新の連続でした。初代モデルは基本的な通知機能と限られた健康トラッキング機能を提供していましたが、Series 2では防水性能とGPSを搭載し、Series 3では初めてセルラー通信が可能になりました。Series 4では心電図(ECG)機能を導入し医療デバイスとしての価値を高め、Series 5では常時表示ディスプレイを実現しました。
Series 6では血中酸素測定機能が追加され、Series 7ではディスプレイサイズが拡大。Series 8は体温センサーを導入し、Series 9では超高速なS9チップと機械学習能力の向上によりSiriの処理がデバイス上で完結するようになりました。
そして2024年、Apple Watch Series 10が登場しました。10周年という節目にふさわしい大幅なアップデートにより、ウェアラブルデバイスの新時代を切り開くモデルとなっています。
Series 10の位置づけと市場インパクト
Apple Watch Series 10は、単なる進化モデルではなく、Apple Watchの歴史における革新的なマイルストーンと位置づけられています。世界のスマートウォッチ市場においてAppleのシェアは依然として約36%を維持しており、最も近い競合であるSamsungの10%を大きく引き離しています。調査会社Counterpoint Researchによると、「プレミアムスマートウォッチ市場においてApple Watchは2024年第2四半期も引き続き支配的な地位を維持し、Series 10の発売により更なるシェア拡大が見込まれる」としています。特に健康機能と省電力設計に重点が置かれており、これまで課題とされていたバッテリー持続時間の大幅な改善が実現されています。
また、新たな健康センサーの追加により、ユーザーの健康管理能力が格段に向上しています。
Apple Watch Series 10の主要機能と特徴
Apple Watch Series 10は、デザイン、性能、機能性のすべての面で前モデルから大きく進化しています。特に物理的な設計変更と内部ハードウェアの改良により、ユーザーエクスペリエンスが大幅に向上しています。
デザインと本体サイズの変更点

Series 10では、Apple Watchのデザイン哲学を維持しながらも、より洗練されたフォルムを実現しています。最も大きな変更点は本体の薄型化で、前モデルのSeries 9と比較して約15%薄くなっています。これにより、日常使用時の快適性が向上し、就寝時の睡眠トラッキングでも違和感なく装着できるようになりました。
ケース素材も進化し、アルミニウムモデルはより軽量な航空宇宙グレードのアルミニウム合金を採用。ステンレススチールモデルは耐久性の高い新合金を使用し、チタンモデルは前モデルよりもさらに強度が増しています。これらの素材改良により、耐久性を高めながらも軽量化を実現しています。
物理的なボタンにも変更が加えられ、デジタルクラウンはより精密な触覚フィードバックを提供するようになりました。サイドボタンも改良され、防水性能を向上させながらも操作感が向上しています。
カラーバリエーションも刷新され、アルミニウムケースではジェットブラック、ローズゴールド、シルバー。チタニウムケースはナチュラル、スレート、ゴールドの3色展開となっています。
画面と表示に関する改良点
Apple Series 10のディスプレイは、有機EL技術の最新世代を採用し、輝度、色再現性、省電力性能のすべてが向上しています。最大輝度は2,000ニトに達し、直射日光下でも視認性に優れています。最小輝度も1ニト以下まで下がるため、暗い環境でも目に優しい表示が可能です。
画面解像度も向上し、文字や画像がより鮮明に表示され、小さなウォッチフェイスでも情報の視認性が向上しています。
新しいディスプレイコントローラーにより、リフレッシュレートが動的に変化するようになりました。静止画表示時は1Hzまで下がり、アニメーション表示時は最大60Hzまで上昇します。この技術により、バッテリー消費を抑えながらもスムーズな画面遷移を実現しています。
また、新たに採用された強化ガラスは、耐衝撃性能が前モデルから向上しています。このガラスは特殊なイオン交換処理が施されており、日常使用における細かな傷にも強くなっています。
プロセッサとパフォーマンスの向上
Apple Series 10の心臓部には、新開発のS10 SiP(System in Package)が搭載されています。このチップは前モデルのS9チップと比較して電力効率が向上しています。CPUコアの性能も向上し、アプリの起動時間が短縮されています。
特に注目すべきは機械学習処理能力の向上です。これにより、音声認識、動作認識、健康データ分析などのオンデバイス処理が高速かつ正確に行えるようになりました。
ストレージ容量も64GBに倍増し、より多くのアプリやメディアファイルを保存できるようになりました。
また、Bluetooth 5.3に対応し、低消費電力でありながら安定した接続が可能になっています。
バッテリー持続時間と充電技術
Apple Series 10は新しいバッテリー技術と省電力設計により、通常使用で最大18時間、省電力モードでは最大36時間の稼働が可能です。
ただしSeries 9とは変わりません。
また、充電技術も進化し、新しい高速充電システムにより、わずか30分で約80%まで充電できるようになりましたが、前モデルとの違いはありません。
Apple Watch SEとSeries 10の直接比較

Apple WatchシリーズにはSeries 10の他にも、コストパフォーマンスに優れたSEモデルが存在します。
比較項目 | Apple Watch SE | Apple Watch Series 10 |
---|---|---|
価格 | 37,800円~ | 59,800円~(アルミニウム) 79,800円~(ステンレススチール) |
ケース素材 | アルミニウムのみ | アルミニウム、ステンレススチール |
プロセッサ | S8チップ | S10チップ |
ディスプレイ | Retina LTPO OLED (最大輝度1,000ニト) | Retina LTPO2 OLED (最大輝度2,000ニト) 常時表示機能あり |
バッテリー持続時間 | 通常:最大18時間 省電力モード:最大36時間 | 通常:最大18時間 省電力モード:最大36時間 |
通信技術 | Bluetooth 5.3 Wi-Fi 802.11b/g/n 2.4GHz | Bluetooth 5.3 Wi-Fi 802.11b/g/n 2.4GHz、5GHz |
GPS | GPSモデル GPS + Cellularモデル | GPSモデル GPS + Cellularモデル(精度向上) |
基本健康機能 | 心拍数モニタリング 睡眠トラッキング アクティビティトラッキング 緊急SOS 転倒/衝突検出 | SEの全機能に加え、以下の機能あり |
追加健康機能 | なし | 心電図(ECG)機能血中酸素レベル測定詳細な睡眠ステージ分析体温センサー(女性の健康トラッキング)高度なワークアウト分析 |
心拍センサー | 光学式心拍センサー | 第2世代光学式心拍センサー |
防水性能 | 50メートル防水 | 50メートル防水 |
その他の特徴 | - | 高度計、深度計、水温センサー 超広帯域(UWB)チップ |
Series 10は価格は高いものの、健康機能、バッテリー持続時間、ディスプレイ性能などで優れており、健康管理に重点を置くユーザーやより高度な機能を求めるユーザーに適しています。一方、SEモデルは基本的なスマートウォッチ機能を備えており、コストパフォーマンスに優れています。
Apple Watch Series 10でできてSEではできないこと
そこで、Apple Watch Series 10とSEモデルの機能差を明確に理解するため、Series 10独自の機能や特徴を詳しく解説します。これにより、どのモデルが自分のニーズに最適かを判断する材料となります。
Apple Series 10の独自機能詳細解説
心電図(ECG)機能
Series 10は内蔵の電極を使用して心電図測定が可能です。この機能によりユーザーは30秒間の心電図を記録し、心房細動(AFib)などの不整脈の兆候を検出できます。記録された心電図はPDF形式で保存され、必要に応じて医師と共有できます。SEモデルにはこの機能が搭載されていません。
血中酸素測定
Series 10の背面には血中酸素レベルを測定するための専用センサーが搭載されています。このセンサーは赤色と赤外線LEDを使用して血中のヘモグロビンによる光の反射を測定し、酸素飽和度を算出します。SEモデルはこの機能を持たないため、睡眠時無呼吸症候群のスクリーニングなど、酸素レベルに関連した健康モニタリングはできません。
体温センサー
Series 10には精密な体温センサーが搭載されており、0.1℃単位での体温変化を検出できます。この機能は女性の健康機能と連携し、より正確な排卵予測や生理周期トラッキングを可能にします。また、感染症や体調変化の早期検出にも役立ちます。SEモデルにはこのセンサーが搭載されていないため、これらの詳細なモニタリングはできません。
高度なストレスモニタリング
Series 10は心拍変動、皮膚電気活動、呼吸パターンなどの複数のパラメータを組み合わせて総合的なストレスレベルを評価します。高ストレス状態が検出された場合は、マインドフルネス呼吸エクササイズやストレス軽減のためのアクティビティを提案します。SEモデルはより基本的なストレス検出機能を持っていますが、検出精度と対応策の提案はSeries 10に劣ります。
常時表示ディスプレイ
Series 10は常時表示ディスプレイを採用しており、手首を持ち上げなくても時刻やその他の情報を確認できます。この機能はバッテリー消費を最小限に抑えながら実現されており、従来の腕時計のように常に情報を確認できる利便性があります。SEモデルでは画面は使用時のみ点灯します。
超広帯域(UWB)チップ
Series 10には超広帯域(UWB)チップが搭載されており、空間的な位置情報を正確に把握できます。この機能により、車のキーとしての使用や、正確な位置情報に基づいた「友達を探す」アプリでの位置共有などが可能になります。SEモデルにはこのチップが搭載されていません。
高度なセンサーとアプリケーション
Series 10に搭載された高度なセンサー群は、SEモデルでは実現できない多くのアプリケーションを可能にしています。
詳細なフィットネス分析
Series 10の高精度センサーとS10チップの処理能力により、運動中のより詳細なメトリクスを計測・分析できます。例えば、ランニングでは接地時間、垂直振動、左右バランス、ストライド長などの高度な指標を測定し、フォーム改善の提案が可能です。SEモデルでは基本的な距離、ペース、心拍数のみのトラッキングとなります。
環境センシング
Series 10には高度な環境センサーが搭載されており、周囲の騒音レベルや気圧の変化を検出できます。騒音レベルが健康に有害なレベルに達すると警告を発し、聴覚保護を促します。また、気圧センサーはより正確な高度測定と天候変化の予測に使用されます。SEモデルにもこれらのセンサーはありますが、精度と感度はSeries 10に劣ります。
医療研究アプリケーション
Series 10の高度なセンサーは、医療研究プログラムへの参加を可能にします。Apple Heart and Movement Study、Women's Health Study、Hearing Studyなどの研究プログラムでは、Series 10のセンサーデータが匿名で共有され、医学研究に貢献します。SEモデルも一部の研究に参加可能ですが、提供できるデータの種類と精度に制限があります。
詳細な睡眠分析
Series 10は加速度センサー、心拍センサー、酸素センサー、体温センサーのデータを組み合わせることで、より詳細な睡眠ステージ分析が可能です。レム睡眠、深い睡眠、浅い睡眠の各ステージをより正確に識別し、睡眠の質を総合的に評価します。また、睡眠時無呼吸症候群の兆候を検出する機能もあります。SEモデルでは基本的な睡眠時間と動きの検出にとどまります。
watchOS最新バージョンとの互換性の違い
watchOSのバージョン互換性も両モデルの重要な違いです。最新のwatchOS 11は両モデルで動作しますが、一部の新機能はSeries 10でのみ利用可能です。
オンデバイスAI処理
watchOS 11の新機能の一つにオンデバイスAI処理機能がありますが、これはS10チップの強力な機械学習能力を必要とするため、Series 10でのみ利用可能です。この機能により、インターネット接続なしでも高度な音声認識や動作認識が可能になります。
リアルタイム翻訳機能
Series 10では、watchOS 11の新しいリアルタイム翻訳機能を利用できます。この機能は、S10チップの処理能力を活用して、会話をリアルタイムで翻訳します。SEモデルではこの機能は利用できません。
高度なウォッチフェイスカスタマイズ
watchOS 11の新しいウォッチフェイスカスタマイズ機能の一部は、Series 10の高解像度・高輝度ディスプレイを活用するため、SEモデルでは利用できないか、機能が制限されます。特に3D効果や複雑なアニメーションを伴うウォッチフェイスはSeries 10でのみ最適に動作します。
将来のアップデート対応力の差
デバイスの寿命とソフトウェアサポート期間も、購入決定の重要な要素です。歴史的にみると、Appleはより高性能なハードウェアを搭載したモデルに対して、より長期間のソフトウェアアップデートを提供する傾向があります。
ソフトウェアサポート期間
過去の傾向から予測すると、Series 10は発売から約5〜6年間のwatchOSアップデートサポートが期待できます。一方、SEモデルは約3〜4年のサポートが見込まれます。この差は、特に長期間の使用を計画しているユーザーにとって重要です。
将来の機能拡張性
Series 10の高性能ハードウェアは、将来のソフトウェアアップデートによる機能拡張の余地が大きいです。例えば、機械学習アルゴリズムの改良による健康機能の精度向上や、新しいセンサー活用方法の導入などが期待できます。SEモデルは基本的なハードウェア仕様のため、将来の機能拡張には限界があります。
既存機能の継続的改善
Series 10の高性能プロセッサとより多くのメモリにより、既存機能が時間とともに改善される可能性が高いです。例えば、AIアルゴリズムの学習による健康データ分析の精度向上や、バッテリー管理システムの最適化などが期待できます。SEモデルでも基本的な改善は行われますが、ハードウェア制約によりその範囲は限定的です。
Apple Watch選びの結論・まとめ
Apple Watchの選択は、個人のニーズと予算によって大きく左右されます。
健康管理とフィットネスを重視するユーザーにはSeries 10が最適です。心臓・睡眠・ストレス管理など詳細な健康データ分析が可能で、アスリートやフィットネス愛好家に適したパフォーマンス分析機能を備えています。また、バッテリー寿命も優れており、常時表示ディスプレイを搭載しています。
一方、基本機能のみで十分なユーザーやコスト重視の方にはSEモデルが適しています。日常的な通知確認、基本的なフィットネストラッキング、Apple Pay利用など基本機能は十分カバーしています。
ただし、長期的な視点では、Series 10のコストパフォーマンスが優れていると言えます。約3年の平均使用期間を考慮すると、Series 10とSEの価格差(約2万円)に対して、常時表示・健康機能・バッテリー性能で約3万円相当の価値を提供するためです。
また、アップグレードは2〜3年サイクルが理想的です。
アップグレード判断基準
- 推奨度高: Series 5以前、初代SEからのアップグレード
- 推奨: Series 6、第2世代SEからのアップグレード(健康機能重視の場合)
- 検討価値: Series 7からのアップグレード
- 必要性低: Series 8・9からのアップグレード
特にSeries 5以前や初代SEからのアップグレードは強く推奨されます。
無理なく購入する方法
Apple Watch Series 10はペイディあと払いプランApple専用に対応しております。同製品は3回払いで手数料無料で購入できますので、月19,933円です。
また下取りも可能ですので、割引されますし、ペイディApple専用と併用もできます。
最終的には、Apple Watchは単なるガジェットではなく健康管理ツールとしての価値が高まっているため、お客様のライフスタイルや健康ニーズに合わせた選択が重要ですので良く判断してください。